子安宣邦氏と松井久子さんの再婚と思想史への影響?90歳と77歳の夫婦の愛と、思想史家の思想
江戸思想史研究に新風を吹き込んだ子安宣邦。フーコーの言説論を基盤に、荻生徂徠や本居宣長らを「言説」として分析し、従来の思想史を覆す。本書は、思想家の発言を当時の社会状況における事件として捉え、その影響を考察。近代的な視点からの歪みを指摘し、江戸思想を再解釈する。90歳での結婚も話題の著者が、新たな視点から江戸思想を読み解く。
💡 子安宣邦氏の思想は、荻生徂徠の研究を通して、中江兆民の思想を再解釈し、現代における意義を論じています。
💡 90歳の子安宣邦氏と77歳の映画監督松井久子さんの再婚は、人生観と価値観の共有に基づいています。
💡 子安宣邦氏の思想史講座と論語塾を通じて、彼の思想に触れる機会が提供されています。
それでは、子安宣邦氏の思想と、彼を取り巻く出来事について、詳しく見ていきましょう。
子安宣邦と「言説論的転回」
子安宣邦の江戸思想史研究は、従来の研究と何が違う?
言説論的転回
本章では、現代思想における子安宣邦氏の思想的意義を、多角的に考察していきます。
公開日:2023/05/27

✅ 子安宣邦氏は、荻生徂徠の制作学を通して中江兆民の思想を再解釈し、現代におけるその意義を論じています。徂徠の制作学は制度論として、天皇を必要としない社会の可能性を示しており、それは戦後憲法における国民主権の理念に通じるものだと主張します。さらに、儒教における多様な普遍性から東アジア共同体の意義を説き、西欧の真善美を超えた新しい価値観の必要性を訴えます。
✅ 子安宣邦氏は、朱子の「精神」と「鬼神」の関係に着目し、現代人が「鬼神」を失うことで、アジア的なコスモロジーを失った可能性を指摘します。朱子においては、「精神」と「鬼神」は相似であり、精神は物質と対立する概念ではなく、働きや実体を持つものとして理解されていました。「鬼神」は陰陽二気の自然世界に読み解かれるものであり、精神は魂や魄といった物質的な要素と密接に関係していると考えられています。
✅ 子安宣邦氏の思想は、ポストモダンな精神を包含しており、ハイデガーの「存在-内-世界」とは異なる、全時代の思想からくる暗闇の魂の折り畳みを思考しています。「精神」の概念は、ドイツ語のGeist、英語のSpiritのように、物質と対立する概念として捉えられがちですが、朱子においては、精神は物質的な働きや実体を持つものとして捉えられていました。子安宣邦氏は、朱子の思想を通して、「精神」と「物質」を対立関係として捉えるのではなく、精神は働きや実体を持つものとして理解する必要があると主張しています。
さらに読む ⇒゛出典/画像元: https://owlcato.hatenablog.com/entry/2023/05/27/135925子安宣邦氏の思想は、従来の思想史研究とは異なる方法論で江戸時代の思想を分析している点が興味深いです。
言説論的転回というアプローチは、新たな視点を与えてくれそうですね。
子安宣邦は、従来の江戸思想史研究とは一線を画し、自らを「言説論的転回」と位置付け、フーコーの『知の考古学』を論拠とし、伝統や連続性の諸形態を「宙づり」にして、言説の固有性を重視する。
彼は、思想史における「言説(事件=出来事)」という方法論的視座を採用することで、従来の思想史研究とは異なる視点で江戸時代の思想を分析しようとしている。
子安思想史は、「近代知の考古学」と「近代知の脱構築」という二つの道筋を示し、複合的な視座から「方法としての江戸」を提唱する。
子安は、言説分析を、思想家の主体性と歴史的物語の再構成に分け、それぞれ「書物の問題」と「理論の問題」と捉える。
この「言説(事件=出来事)」という視座を荻生徂徠や本居宣長といった江戸時代の著名な思想家に対する分析に応用し、これらの思想家の発言を当時の社会状況における「事件」として捉え、それらの発言が当時の思想空間においてどのような影響を与えたのか、すなわち「言説」としての意味を問うている。
例えば、徂徠の学問・思想上の発言は、当時の思想空間において新たな議論を巻き起こし、同調や抵抗といった波紋を生み出したと考えられる。
子安は、これらの波紋の分析を通じて、徂徠の学問・思想の真の意味を探ろうとしている。
同様に、本居宣長の『古事記伝』も「事件」として捉えられ、古事記が新しい視点で読まれるようになったことを意味している。
子安は、『古事記伝』という「言説」が当時の既成の言説とどのように異なっていたのか、その差異を明らかにすることで、宣長の思想の真髄を探究しようとしている。
子安思想史は、江戸思想史研究に大きな影響を与え、宮川康子、宇野田尚哉、樋口浩造らにより、闇斎学、徂徠学、懐徳堂における諸言表の言説論導入が進められた。
なるほど、子安先生の思想は、今の時代にも通じるものがあるんですね。フーコーとか、難しい言葉が出てきましたが、興味深いですね。
90歳の思想史家と77歳の映画監督の結婚
90歳で結婚した子安宣邦さんと松井久子さん、二人の出会いは?
市民講座での出会い
この章では、子安宣邦さんと松井久子さんの結婚について深掘りしていきます。

✅ 90歳の子安宣邦さんと77歳の松井久子さんの再婚は、子安さんが開いていた市民講座での出会いから始まりました。
✅ 子安さんは戦争や国家観に対する共通認識、松井さんは年をとっても幸せになる権利を主張したことが再婚のきっかけになったと語っています。
✅ 共に反戦運動や社会運動に参加するなど、晩年は互いに新しい生き方を模索し、人生観を共有していることがわかります。
さらに読む ⇒東京新聞出典/画像元: https://www.tokyo-np.co.jp/article/301987年齢を重ねても、新しい生き方を見つけ、愛を育む姿は素晴らしいですね。
互いを尊重し、支え合う関係性は理想的です。
子安宣邦は、90歳にして映画監督の松井久子さんと結婚した。
2人の出会いは、子安さんが開いていた市民講座で、子安さんは松井さんの人生観や人間観に衝撃を受け、積極的に関わるようになった。
松井さんは、子安さんの考えに共感し、新しい生き方をしてみようと思えたという。
結婚に至るまでに、2人には「生き方の大転換」があった。
子安さんは、以前の妻との死別後、孤独な生活を送っていたが、松井さんとの出会いをきっかけに、人生観が変化した。
松井さんは、離婚後43年間独りだったが、子安さんと出会うことで、人生に希望を見出しました。
2人は、年齢を重ねても幸せになる権利があると信じ、共に新しい道を歩むことを決意した。
いやあ、素晴らしいですね。年齢を重ねても、こんな素敵な出会いがあるんですね。僕もあやかりたいものです(笑)。
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子安思想史を再考!江戸思想を「方法としての江戸」から読み解く。近代的な視点からの歪みを指摘し、新たな江戸像を提示。思想史講座や論語塾の情報も。