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橋本治の世界観とは?『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』から読み解く-多様な才能と社会への問いかけは?40年ぶりの復刊!『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』

作家・橋本治、文学・社会批評・古典研究など多岐にわたる活動の軌跡を辿る。代表作『桃尻娘』から、40年ぶりに復刊された推理小説まで、彼の作品が社会に投げかけた問いとは? 芥川龍之介への考察、ジェンダー論、安倍政権への鋭い批判… 橋本治が遺した言葉は、今もなお、私達の価値観を揺さぶり続ける。

橋本治の世界観とは?『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』から読み解く-多様な才能と社会への問いかけは?40年ぶりの復刊!『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』

📘 この記事で分かる事!

💡 橋本治の代表作『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』が復刊。ミステリーでありながら、都市論や家族論、昭和史にも言及。

💡 橋本治は小説家、イラストレーター、評論家など多岐にわたる分野で活躍。1980年代の文芸を牽引し、社会への鋭い視点を持つ。

💡 橋本治の作品は、家父長制的な権威への反抗を表現。現代社会にも通じるテーマを、独特の文体で描き出す。

それでは、橋本治の世界観を紐解くべく、彼の多岐にわたる活動と代表作について、詳しく見ていきましょう。

橋本治の多岐にわたる活動と代表作

橋本治の小説「ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件」の魅力は?

推理と社会風刺の融合

橋本治のデビュー作から、彼の文体が確立していく過程、そして作品に込められた社会へのメッセージについて解説します。

橋本治『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』が復刊。年前の小説が今に贈るメッセージ
橋本治『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』が復刊。年前の小説が今に贈るメッセージ

✅ 橋本治の小説「ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件」が40年近くの時を経て復刊。1983年に出版された作品で、東大卒のイラストレーターが探偵を装い、依頼人の家の殺人事件に巻き込まれるミステリー。

✅ 橋本治は1977年に小説家デビューし、1980年代の文芸を牽引。当時の若者言葉を取り入れたくだけた文体で、話し言葉をそのまま書き起こしたような独特な文章を生み出す。

✅ 橋本治の文体は、家父長制的な権威への反抗と解釈できる。高度経済成長後の新しいカルチャーが花開いた1980年代、文学においても権威に挑戦する動きがあった。

さらに読む ⇒出典/画像元: https://www.cinra.net/article/202212-hashimotoosamu_hrstmcl

橋本治のデビューから40年もの時を経て復刊された小説は、現代の読者にも響くテーマを含んでいます。

彼の作品が、いかに現代社会においても色褪せない価値を持つのか、興味深いですね。

橋本治は、1948年生まれの作家であり、イラストレーター、小説家、評論家、エッセイスト、古典の現代語訳者、戯曲作家、演出家など、幅広い分野で活躍しました

東京大学国文科を卒業後、イラストレーターとして活動を始め、その後、小説家としてデビューしました。

主な著作には、『桃尻娘』、『桃尻語訳枕草子』、『上司は思いつきでものを言う』、『二十世紀』、『大江戸歌舞伎はこんなもの』などがあります。

橋本治の小説『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』が、1983年の初版から40年近くの時を経て復刊されました。

この小説は、東大卒のイラストレーター田原高太郎が、ガールフレンドの依頼で「探偵」となり、彼女の知り合いのおばあちゃんの住む鬼頭家を訪れることから始まります。

おばあちゃんは映画『犬神家の一族』を見て、自分の一家と似たところがあると胸騒ぎを感じ、「探偵を呼んでほしい」と依頼したのです。

しかし、田原たちが鬼頭家に到着した直後、おばあちゃんは何者かに殺されてしまいます。

田原は犯人をめぐって推理合戦を繰り広げますが、物語は推理小説のお約束に茶々を入れ、都市論、家族論、昭和史へと広がっていくのが特徴です。

いやあ、懐かしいなあ。橋本治先生の作品は、当時の若者文化を象徴するような、そんな印象がありますね。あの頃の空気感が蘇るようです。

橋本治が文学に与えた影響

橋本治はどんな文体で作品を発表しましたか?

くだけた若者言葉

神奈川近代文学館での展覧会から、橋本治の多才な才能と、作品が持つ現代的な意味合いについて考察していきましょう。

社会や世界がどうしようもなくぐらついてきたとき、人びとは「橋本さん」を発見せざるを得なかったーー神奈川近代文学館で特別展「帰って来た橋本治展」開催中(月日まで)
社会や世界がどうしようもなくぐらついてきたとき、人びとは「橋本さん」を発見せざるを得なかったーー神奈川近代文学館で特別展「帰って来た橋本治展」開催中(月日まで)

✅ 神奈川近代文学館で開催されている「帰って来た橋本治展」では、橋本治自身の歴史、作家としての仕事の歴史、美術系の仕事の歴史の3つのブロックに分けて約450点が展示されています。

✅ 橋本治の多岐にわたる才能と、言語学や文化人類学に基づいた深い分析力、そして「制度やモノの構造の時空間的変化を読み解く知性」が紹介されています。

✅ 政治やメディアからの信頼が失われた現代において、橋本治の著作は「副読本」として活用すべきであると提唱され、おすすめ書籍も紹介されています。

さらに読む ⇒ローカルナレッジ新しい教養を再発見しよう出典/画像元: https://www.localknowledge.jp/2024/05/1423/

橋本治の作品が、現代においても「副読本」として活用されるというのは、非常に興味深いですね。

彼の作品が、私たちに社会を読み解くヒントを与えてくれるということでしょう。

橋本治は1977年に小説家デビューし、1980年代の文芸を牽引した一人です。

彼は当時の若者言葉を取り入れたくだけた文体を用い、話し言葉をそのまま書き起こしたような、語尾が特徴的な文章で作品を発表しました。

これは当時の文学、特に家父長制的な権威に反抗するための手法だったと考えられます

高度経済成長の果てに生まれた音楽やイラストといった新たなカルチャーと共に、橋本治の作品は、当時の社会における変化を反映しています。

現代において、誰でも気軽に文章を発信できるようになった背景には、橋本治のような作家が文学の枠組みを超えた表現に挑戦した歴史があると言えるでしょう。

橋本治さんの作品って、今読んでも新しい発見があるんですよね。時代の流れの中で、彼の作品が持つ意味合いも変わってくるのが面白いです。

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橋本治を多角的に読み解く。芥川への共感、社会批評、そして「伝統」への鋭い視線。時代を斬る彼の思考と、その遺した言葉の重みを伝える一冊。