馬場あき子とは?歌人人生と作品の魅力に迫る!94歳の歌人・馬場あき子の短歌世界
94歳の歌人、馬場あき子。戦中からの創作活動を経て、伝統と革新を融合させた独自の歌世界を確立。代表作「鯨の世紀」をはじめ、繊細な感性と知性で現代短歌を牽引。能楽への造詣も深く、後進の指導にも尽力。阿部顕嵐との対談では、『新古今和歌集』を「戦後歌集」と捉え、新たな視点を提示。75年の歌業を網羅した全歌集は、短歌史に残る貴重な記録。
💡 70年以上の歌人人生を歩む馬場あき子。27歌集を出版し、約1万首の歌を詠む。
💡 代表作「鯨の世紀」は、生命の儚さ、現代社会への警鐘を込め、水仙を象徴的に使用。
💡 評論家、能作家、教育者としても活躍し、現代短歌界に多大な影響を与え続けている。
本日は、現代短歌界を牽引する歌人、馬場あき子さんの魅力に迫ります。
まずは、歌人としての彼女の歩みから見ていきましょう。
歌人としての歩み
馬場あき子さんの魅力は?
歌と人生の深み
馬場あき子さんの歌人としての歩みは、70年以上にわたる長く、深みのあるものです。
様々な時代背景の中で、自身の内面と向き合い、表現を追求してきた軌跡は、多くの人々に共感と感動を与えます。
公開日:2021/12/01

✅ 馬場あき子さんは、70年以上にわたり歌を詠み続け、27歌集を出版してきた歌人です。今回の「馬場あき子全歌集」では、教師時代、安保闘争、古典への取り組み、伴侶の死など、時代と半生を刻んだ約1万首を収録しています。
✅ 馬場さんは、自身の歌集の中で、特に第3歌集「無限花序」と第5歌集「桜花伝承」を転換点と捉えています。「無限花序」は、60年安保後の苦しみと迷いを反映した作品で、周囲から批判を受けながらも、自身の進むべき道を示す歌集となりました。「桜花伝承」は、現代短歌女流賞を受賞し、朝日歌壇の選者となる契機となった作品で、より確信を持って歌を詠むようになった時期を表しています。
✅ 馬場さんは、教師時代、生徒たちとの交流を通して多くの影響を受けました。特に、戦後民主主義教育が始まった時代に、生徒たちと共に学び、成長していく過程は、馬場さんの歌にも深く反映されています。生徒への愛情と、歌への情熱を貫き続ける馬場さんの生き様は、現代短歌界に大きな影響を与え続けています。
さらに読む ⇒朝日新聞デジタル:朝日新聞社のニュースサイト出典/画像元: https://www.asahi.com/articles/ASPCY7J2XPCSUCVL027.html馬場あき子さんの歌集は、時代を映す鏡のようです。
戦争や安保闘争、そして夫との死別といった出来事が、彼女の歌に深みを与えていますね。
まさに、歌は人生そのものと言えるでしょう。
馬場あき子さんは、1928年生まれの現代の歌人です。
戦中時代に歌を書き始めたものの空襲で焼失した経験を持ちながらも、その後も創作活動を続け、多くの歌集を発表してきました。
1947年に歌誌「まひる野」に入会し、窪田章一郎に師事しました。
夫の岩田正さんは、同じく歌人として馬場あき子さんを支え、1978年には共に歌誌「かりん」を創刊しました。
二人の結婚生活は、歌を通して互いを理解し尊重し合う、穏やかなものであったことがうかがえます。
教員生活を経て、夫と共に「かりん」を創刊し、短歌の世界に貢献しています。
2021年には、長年の創作活動の集大成となる「馬場あき子全歌集」を出版し、その功績は広く認められています。
現在も94歳ながら精力的に活動し続けている馬場あき子さんから、短歌の魅力と人生の深みを感じ取ることができます。
いやあ、素晴らしいですね。70年以上も歌を詠み続けるなんて、本当に尊敬しますね。昔の歌のことはよく分かりませんが、情熱が伝わってきますよ。
「鯨の世紀」と革新的な歌風
馬場あき子さんの歌の特徴は?
繊細で知的、現代的
馬場あき子さんの代表作「鯨の世紀」は、地球環境問題に対する警鐘とも言える作品です。
水仙を象徴的に用いることで、人間の傲慢さや自然破壊への批判を表現しています。
公開日:2022/06/07

✅ 馬場あき子の短歌「鯨の世紀恐竜の世紀いづれにも戻れぬ地球の水仙の白」は、地球の過去と現在、そして未来に対する絶望的な心情を表現しています。
✅ 歌人は「水仙」を、人間の傲慢さと地球への害毒を表す象徴として用いています。水仙が持つ毒性や神話におけるナルキッソスの自己愛は、人間の自己中心的で破壊的な行動を反映していると解釈できます。
✅ この短歌は、鯨と恐竜の絶滅、そして人間の未来に対する不安を、水仙という可憐な花を通して表現することで、より深く、そして痛切なメッセージを伝えています。
さらに読む ⇒あしかレビュー出典/画像元: https://asikareview.com/2022/06/baba_kujira/「鯨の世紀」は、現代社会が抱える問題を鋭くえぐり出す作品ですね。
水仙という美しい花を通して、人間の業を描き出す表現力に圧倒されます。
まさに、言葉の力ですね。
馬場あき子さんは、代表作「鯨の世紀」で古代鯨や恐竜の時代と現在の対比を通して、生命の儚さと現代における命の尊さを歌っています。
水仙の花を題材に、作者自身の視点で生命の連鎖を描いていると考えられます。
現代短歌の前衛的な動きの中で、馬場は伝統的な和歌の技法を踏まえながらも、現代的な感性と知性を融合させた新しい歌の世界を切り拓きました。
その歌風は繊細かつ豊かな感受性に満ち、知的な深みを湛えています。
古典や能への理解を基盤としながら、斬新な連作スタイルや細やかな表現技法を確立したことも特徴です。
水仙の持つ二面性を巧みに利用した表現が印象的ですね。地球環境問題について考えさせられました。まるで、遠い昔の詩歌のようです。
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歌人・馬場あき子と阿部顕嵐が対談!『新古今和歌集』や能の「幽玄」を語り尽くす。75年の歌業を凝縮した全歌集も必見。