高橋秀実の世界：ノンフィクション作家の取材術と作品、その死を悼む？取材、家系、校正…高橋秀実氏が遺した言葉

公開日: 2025-05-11

最終編集: 2025-05-11

ノンフィクション作家、高橋秀実氏の知られざる世界。取材メモの重要性から、ルーツ探求、校正への情熱まで、その作品と思想を凝縮。故人の言葉を紐解き、言葉の力と生きた証を伝える。代表作『ご先祖様はどちら様』、遺作『ことばの番人』など、氏の多岐にわたる活動と、その死が示した、言葉と向き合うことの意味。

📘 この記事で分かる事！

💡 高橋秀実氏の取材術、特にメモ術に焦点を当て、相手との信頼関係を築くための工夫を紹介。

💡 ノンフィクション作家・高橋秀実氏の代表作『ご先祖様はどちら様』を通じて、家系探求の旅と歴史への向き合い方を考察。

💡 遺作『ことばの番人』から、校正という仕事の重要性と、言葉に対する向き合い方を解説。

本日は、高橋秀実氏の作品を通して、氏の思考と創作活動に迫ります。

まずは彼の取材術について見ていきましょう。

高橋秀実氏の取材におけるメモ術

取材メモはどんな役割を果たす？

信頼関係を築くツール

高橋秀実氏のメモ術は、相手との距離を縮め、本音を引き出すための重要な手段。

高橋秀実氏インタビュー】ノンフィクション作家は、どのようにメモを活かしているか『おすもうさん』著者高橋秀実氏インタビュー

✅ 高橋秀実氏は、テーマが曖昧な場合でも、相手の言葉遣いや態度など、一見取るに足りないようなこともメモに書き留める。それは、相手との信頼関係を築き、より自然な形で情報を引き出すためである。

✅ メモを取ることは、相手に目線をずらしてもらうことで、リラックスさせ、本音を聞き出す効果もある。また、メモを取る行為自体が、相手に自分の考えを表明する機会を与え、共同作業のような雰囲気を生み出す。

✅ 高橋氏は、テープレコーダーは相手との距離を作り、敵対意識を生み出すと感じているため、使わない。メモは、相手の言葉遣いや話し方を重点的に記録することで、後から記憶を呼び戻す助けとなり、より自然で人間味あふれる文章を書くために役立つ。

高橋氏のメモ術は、相手との距離を縮め、自然な会話を引き出すための重要な手段であり、メモを取る行為自体が、相手に自分の考えを表明する機会を与え、共同作業のようにも感じられます。

高橋秀実氏は、ノンフィクション作家として、取材におけるメモの重要性を強調しています。

彼は、テーマが曖昧な場合でも、相手の言葉遣いや態度など、一見取るに足らないと思われることもメモすることで、相手との距離を縮め、自然な会話を引き出すことができると説明しています。

また、メモを取ることで、相手は自分の言葉を記録されているという意識から解放され、よりリラックスして話せるようになる一方、高橋氏は相手の発言を目の前で書き言葉に変換することで、その言葉のニュアンスや奥行きをより深く理解できると述べています。

さらに、メモは相手との共同作業となり、時には一緒に記事の内容を検討する場面もあると語っています。

録音では、相手との間に不信感や敵対心が生まれやすいのに対し、メモは、相手に確認を求めながら、信頼関係を築くためのツールとして機能すると強調しています。

高橋氏は、記憶力の乏しさから、話の内容よりも話者の語尾や一人称など、話し方の特徴を重点的にメモすることで、相手の魅力的な部分を鮮やかに表現することを目指しているとのことです。

なるほど、高橋さんのメモ術は、単なる記録ではなく、相手との関係性を深めるためのツールだったんですね。素晴らしい。

先祖の生き様を理解する上で、髙橋秀実氏が直面した困難は？

資料だけでは捉えきれない

高橋秀実氏の著書『ご先祖様はどちら様』は、自身のルーツを辿る旅を通して、歴史、過去、そして自分自身について深く考察する作品。

高橋秀実／著「ご先祖様はどちら様（新潮文庫）」

✅ 高橋秀実氏の著書「ご先祖様はどちら様」は、著者が自身のルーツを辿る旅を通して、歴史、過去、そして自分自身について深く考えていくノンフィクション作品です。

✅ 戸籍や家紋を調べ、祖先の土地を訪れ、専門家や親戚縁者に話を聞くことで、著者は自身のルーツをたどり、源氏や平氏、さらには天皇家との繋がりを見出します。

✅ この旅を通して、著者は「歴史とは何か」「過去とは何か」「自分は何者なのか」という根源的な問いと向き合い、読者にも同様な疑問を投げかけることで、自身のルーツや歴史、そして人生の意味について深く考えさせられる作品となっています。

高橋氏が自身のルーツ探求で直面した、資料だけでは掴みきれない先祖の姿への葛藤が印象的ですね。

想像力で補完することの難しさと、それでも向き合う姿勢に心を打たれます。

髙橋秀実氏は、自身のルーツを探る連載の中で、戸籍や過去帳といった資料から得られる情報だけでは、先祖の具体的な姿や生き様を掴み取ることができないというジレンマに直面した。

先祖の職業や出自が判明するたびに、そのイメージに影響され、まるでその時代の人になったような感覚を味わう一方で、具体的なエピソードや感情の共有は難しいと感じた。

特に曾祖父や祖父については、資料が少なく、想像力を頼りにその人物像を構築していく過程で、悲しみや切なさを感じた。

また、故人を過去形で表現することに抵抗があり、亡くなった人々も、今も何らかの形で存在しているように感じているという。

自身のルーツ探求を通して、歴史は断片的な情報と想像力によって構築されるものであり、故人は過去の出来事ではなく、現在も何らかの形で存在し続けていることを実感したという。

先祖を辿る旅は、自分探しの旅でもあるんですね。壮大なロマンを感じますね。

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